Lamborghini Countach  



Countach LP400
1968年にミウラの後継モデルとして開発がはじまり、1971年4月のジュネーブ・ショーでプロトタイプのLP500が発表された。
しかし、実際に走行させてみると、セミモノコックボディの剛性が不足。当初予定していた5リットルエンジンも往々にして開発が進まず、
エンジンルームの冷却にも問題があり、オーバーヒートを繰り返した。チーフエンジニアのパオロ・スタンツァーニは、
剛性を確保するためにセミモノコックをやめ、バードゲージと呼ばれる角断面鋼管を複雑に組んだ
マルチ・チューブラー・タイプのシャシーを採用。このフレームはミウラ同様、マルケージ社製。このシャシー構造により、
外板にはほとんど応力がかからなくなったため、LP500はスチールを採用していたが、LP400はより軽量なアルミに変更された。
なお、このアウターパネルは1枚1枚チリを合わせながら、手作業で接着されている。エンジンは5リットルをあきらめ、
ミウラ以来の4リットル水冷60度V型12気筒DOHCエンジンをミッドに縦置き搭載。さらに、オーバーヒート対策として、リヤを中心に
エアスクープを設けるなど、冷却効果を高めた生産型LP400のプロトタイプが1973年のジュネーブショーで展示された。
その後、1974年のジュネーブ・ショーでLP400の最終プロトタイプが公開され、デリバリーが開始された。

通常の縦置きミッドシップは前からエンジン、クラッチ、デフ、ギアボックスと並ぶが、チーフエンジニアの
パオロ・スタンツァーニはハンドリングとパフォーマンスを向上させるため、ショートホイールベースにこだわり、ギアボックス、クラッチ、
エンジン、デフという斬新な配置を採った。つまり、エンジンのパワーは前部にあるミッションに行き、そこから180度反転して
エンジン下のオイルサンプの中を通るシャフトによって、リアのデフへと伝わる仕組み。ギアボックスはコックピットに張り出し、
コックピット自体もかなり前よりになったが、12気筒エンジンをミッドシップに搭載するモデルとしては異例の2450mmという、
短いホイールベースを実現。これは同時期に発表されたBBはもちろん、同じエンジンを横置き搭載するミウラよりも短い。
現代のクルマで言えば、トヨタMR-Sと同じ数字。しかし、MR-Sは4気筒エンジンを横置きしているのに対し、
カウンタックは同じ長さのホイールベース内に12気筒エンジンを縦置きしている。さらに、通常は前輪の前に配置される
ラジエターをエンジンの横に置くなど、重量物をクルマの中心部に集めることにより、前後の重量配分は48:52という
理想的なバランスを実現。そのスタイルからは想像もつかない、クイックなハンドリングを可能とした。なお、エンジンの前にミッション、
後ろにデフを配置してシャフトで繋ぐという独特なレイアウトは、ディアブロを経てムルシエラゴにも受け継がれている。
エンジンは当初5リットルを予定していたが、開発が進まず、ミウラ以来の4リットル水冷60度V型12気筒DOHCエンジンを搭載。
最高出力375PS、最高速度は300km/hと発表された。フェラーリ365GT4/BBの302km/hに対し、2km/h負けているが、
BBのデビューはカウンタックLP400登場の半年後。この2km/hの差は、最速の座を渡したくないフェラーリの意地だと思われる。
サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーンで、ブレーキは前後ともベンチレーテッド・ディスクを採用。
ホイールは14インチのカンパニョーロ製で、タイヤはミシュランのXWXが標準で、フロントは205/70VR14、リアは210/70VR14。

デザインはベルトーネ在籍時のマルチェロ・ガンディーニだが、プロトタイプのLP500と比べ、オーバーヒート対策によって
NACAダクトやエアインテークが設けられたのが大きな特長。サイドウィンドウのすぐ後にあるエアインテークは、ラジエターが
ボディから突出してしまうため、それをカバーする役目もある。1070mmしかない全高に加え、
前端をヒンジにして上部へ跳ね上がるガルウィングドアはかなりインパクトがある。
このガルウィングドアは、ランボルギーニV12モデルの象徴として、以後のディアブロ、ムルシエラゴに受け継がれていく。
給油口はサイドのNACAダクトの奥、ドアの鍵穴はNACAダクトの内側上面にある。

インテリアは、プロトタイプのLP500をイメージをいかしつつリファイン。メーターパネルには、8個のメーターが横一列に並ぶ。
中央に大径のスピードメーターとタコメーター、その間に油圧計と水温計、スピードメーター左に電圧計と電流計、
タコメーター右に燃料計と湯温計が配置されている。ステアリングはチルトもテレスコピックも可能で、
調整レバーはセンターコンソール左端にある。ボンネットには、スペアタイヤのほか、
バッテリー、エアコンのコンデンサー、ブレーキオイルのリザーバータンクなどが収められている。

LP400は、1978年までに150台が生産された。これは、1999台が生産されたカウンタック・シリーズの中で最も少ない。
ルーフのペリスコープ(のぞき窓)は、カウンタックシリーズの中でこのLP400にしかない特徴。L
P400Sなど他の仕様されている個体もあるが、ここで見分けることができる。
なお、Countachはイタリア・トリノ地方の方言で驚いたときに使う感嘆詞で、“クンタッチ”あるいは“クンタッシ”と発音される。
1970年の暮れ、はじめてプロトタイプのLP500を見たベルトーネの従業員たちが発した言葉であり、それがそのまま車名となった。
日本では“カウンタック”と呼ばれるが、当時の自動車雑誌編集者がつけたものがそのまま一般化してしまった。
1975年に正規ディーラーのシーサイドモータースによって輸入され、価格は1750万円だった。


クリアタイプのウインカーカバー

ウラッコと同デザインのホイール

ボンネット内

窓はこれしか開かない

エアインテーク

LP400のみのペリスコープ

ランプのまわりはリフレクター

リヤにあるエンブレム





Countach LP400S

BMWとのM1共同プロジェクト、米軍向け4WDのチータの設計のふたつがキャンセルとなり、
ランボルギーニ社が政府の管理下に置かれた1978年のジュネーブ・ショーで登場。当時話題だったカナダの
石油王ウォルター・ウルフが所有していた「ウルフ・スペシャル」をイメージに、フランコ・バラルディーニによって開発された。
FRP製のフロントバンパー一体型スポイラーと前後オーバーフェンダーを装着し、ホイールは14インチから15インチに拡大され、
デザインもプロトタイプのブラボーと同じリボルバータイプに変更。タイヤは偏平率の低いピレリP7に変更され、
フロントは205/70VR14から205/50VR15に、リアは215/70VR/から345/35VR15になった。これにともなって、フロントのスタビライザーが強化され、
サスペンションアームやダンパーの取り付け位置も変更。ブレーキディスクも大径化され、キャリパーはガーリング製からATE製に変更された。
エンジンは扱いやすさを重視して、最高出力は375PSから353PSにパワーダウン。重量も1200kgから1350kgに増加しているが、
最高速度は300km/hのまま。エンジンフードは、ルーバーがボディ同色になっている。ルーフのペリスコープ(のぞき窓)は廃止され、
替わりにオーバーヘッドコンソールが追加された。コックピットのデザインは基本的に変わらないが、
スピードメーターとタコメーターのゼロ指針の位置が変更され、スピードメーターとタコメーターの間のメーターが2つから1つになり、インジケーターを内蔵。
ステアリングの形状が変わり、パーキングブレーキがドア側からサイドシル側に移動された。
リヤウイングを装着しているクルマが多いが、実際はオプションでビッグとスモールの2タイプがある。
1979年の途中から、ホイールが穴の周りに縁のないOZレーシング製に変更され、インパネもリデザインされている。
1978年から1982年に、237台が生産された。


初期のホイール

新デザインのホイール

Sが追加されたエンブレム

オプションのリヤウイング





Countach LP500S
1980年9月、政府の管理下にあったランボルギーニの全株式をフランスの実業家パトリック・ミムランが取得。
新体制となった最初のモデルとして、1982年4月のジュネーブ・ショーで発表された。
他のモデルが生産中止となり、生産できるのはカウンタックしかなかったが、ライバルのBBは365GT4/BBから512BBへと進化しており、
それに対応するため、ボアを82mm、ストロークを69mmにすることで、排気量を3929ccから4754ccに拡大。
開発を指揮したのは、マセラティでボーラやメラクを手掛けた、ジュリオ・アルフィエーリ。最高出力は、353PSから375PSにアップした。
これはLP400と同じ数字であるが、発生回転数が8000rpmから7000rpmに低くなっている。トルクもひとまわり太くなった。
なお、圧縮比が下げられているのは低オクタンのガソリンにも対応できるように配慮されたもので、最大のマーケットである北米を意識した対策。
最高速度は287km/hにダウンしたが、現実的な数字に修正されたといえる。パワーとルクの向上にあわせてギアレシオが変更されたが、
サスペンション、ブレーキなどのメカニズムはLP400Sのまま。エクステリアもLP400Sとほとんど変わらず、リアのエンブレムとドアの形状程度。
インテリアは北米の安全基準に従い、スイッチ形状などが変更された。
正式名称はLP500Sだが、北米向けにLP5000Sという名称が使用され、エンブレムもそれに準じている。
フロントに付けるウイングが新たにオプションに追加。
1985年までに、323台が生産された。


5000が追加されたエンブレム




Countach LP5000 QuattroValvole
フェラーリがBBに代わりテスタロッサを登場させたのに対抗し、1985年に登場したシリーズ最強モデル。「クワトロバルボーレ」の名前が示すように、
エンジンがそれまでの2バルブから、1気筒あたり4本のバルブ(吸気2本、排気2本)に変更された。
プラグが燃焼室の中央になったため、排吸気のレイアウトも見直され、エンジンサイドのカムシャフト間からガスを送り込む
サイドドラフト(45DCOE)から、左右のバンクの間、上方からガスを送り込むダウンドラフト(44DCNF)に変更。
燃料供給も、6基のウェーバー・ツインチョークキャブレターになった。さらに、ストロークを6mm延長して75mmにすることにより、排気量を5167ccに拡大。
最高出力は80PSアップの455PSに、最大トルクも51.0kgmに向上。重量は1480kgになったが、ありあまるパワーのおかげで最高速度は295km/hにアップした。
北米モデルは、途中から排ガス対策用のインジェクションエンジンに変更。パワーは426PSと、若干デチューンされている。
ヨーロッパ仕様はエンジンルームのレイアウト変更により、リアフードの中央にバルジ(突起)がある。インジェクションの場合は、このバルジが左右にある。
外観では、ホイールベースが50mm延長され2500mmになった。タイヤは、フロントがひとまわり拡大され225/50VR15になったが、リヤは変更なし。
前後フードやフロアにカーボン/ケブラーの複合素材が採用されたものの、1987年の途中からアルミに戻された。
インテリアは、センターコンソールのデザインを変更。ダッシュボード上面はブラックとなり、フロントウインドウへの映り込みで悩まされる心配はなくなった。
1988年から、ブレーキダクト付きのサイドスカートがオプションに追加。1985年から1988年までに、632台が生産された。


エンブレム

キャブのエンジンフード

インジェクションのエンジンフード

オプションのサイドスカート





Countach Anniversary
1987年、ランボルギーニの経営権は、フランスの実業家パトリック・ミムランからアメリカの自動車メーカー「クライスラー」に移った。
クライスラーはカウンタックに代わる次期モデルを送り出そうとするが、すでに2年前のクワトロバルボーレが登場した頃から
プロジェクトがスタートしていた。この次期モデルこそディアブロであり、1990年の発表に向けて開発がかなり進んでいた。
しかし、クライスラーの好みではなかったため、大幅な修正を指示。ディアブロ完成までのつなぎとしてカウンタックを手直しすることになった。
おりしも1988年はランボルギーニ創立25周年にあたり、その記念モデルとして「アニバーサリー」が誕生することになった。
発表は、1988年9月、イタリア・パルマ郊外のサルソマッジョーレで開催されたランボルギーニ・デイ。
エクステリアデザインを担当したのは、その後パガーニ・ゾンダを生み出したホラチオ・パガーニ。LP400S以来、ほとんど変わらなかったエクステリアに
大幅な改良が加えられた。ウインカーカバーがスモークタイプになり、フロントバンパー、スポイラーの形状が変わり、リアにも巨大なバンパーを追加され、
リアのパネルも手直しを受けてボディ同色となった。これは、ヨーロッパ仕様と同じものを求めた北米のオーナーのリクエストに応えたもの。
また、クワトロバルボーレではオプションだったサイドスカートが標準装備となった。ただし、クワトロバルボーレのものは、
リヤブレーキへのダクトがボディと水平だったが、アニバーサリーのものは斜めに上がっている。リアのエアスクープも形状が見直されたほか、
エンジンルームのバルジの形状も変更された。オーバーフェンダーの形状も若干修正され、クワトロバルボーレよりも低い位置に取り付けられた。
タイヤサイズは変わらないものの、ホイールはOZ製の3ピースに変更された。当時、ランボルギーニは複合素材の研究が進んでおり、ボディの一部に
レジンを使用したコンポジット材が使われた。ただし、追加パーツが多く、車重は1490kgから1680kgに増加してしまった。
リアウイングは空力的に好ましくないことから、オプションから外されており、リヤウイングのない姿がアニバーサリーでは正しい。
インテリアは、ステアリング、シフトノブは新デザインとなり、パワーシートとパワーウインドウが標準装備された。
シートのリクライニング・スイッチは、サイドシルのカバー内にあり、前後スライド、座面高、シートバック角度をアジャストできる。
センターコンソールにあるエアコンは、デジタル表示のフルオートタイプに変更。最終期モデルは、ディアブロに採用されているものと
同様のタイプになった。エンジンはクワトロバルボーレと同じだが、スペーサーを使って圧縮比を上げられたほか、
より効率のいいラジエター、大型のウォーターポンプを採用することで、信頼性を向上させている。
1990年7月4日、シルバーに塗られた最後のカウンタック(シャシーナンバーZA9C005AOKLA12085)がラインオフ。
マルチェロ・ガンディーニに贈られる予定であったが、彼が辞退したため、ランボルギーニ・ミュージアムに展示されている。
当初は次期モデルのディアブロまでのつなぎとして400台を目標にしていたが、
3年間に657台が生産される大ヒットとなり、カウンタック・シリーズの中でいちばん多いモデルとなった。


スモークタイプのウインカーカバー

オプションのフロントウイング

標準となったサイドスカート

新デザインのエンジンフード



■Specification (1974年〜1990年 総生産台数1999台)
Countach LP400 Countach LP400S Countach LP500S Countach QuattroValvole Countach Anniversary
発表年 1973 1978 1982 1985 1988
生産年 1974〜1978 1978〜1982 1982〜1985 1985〜1988 1988〜1990
生産台数 150 237 323 632 657
シャシー マルチチューブラーフレーム
全長×全幅×全高(mm) 4140×1890×1070 4140×2000×1070
ホイールベース(mm) 2450 2500
トレッド前後(mm) 1500/1520 1490/1606 1536/1606
車両総重量(kg) 1200 1350 1480 1490
エンジン 水冷60度V型12気筒DOHC24バルブ 水冷60度V型12気筒DOHC48バルブ
ボア×ストローク(mm) 82.0×62.0 85.5×69.0 85.5×75.0
総排気量(cc) 3929 4754 5167
燃料供給 ウェーバー45DCOE×6 ウェーバー44DCNF×6
圧縮比 10.5 9.2 9.5
最高出力(PS/rpm) 375/8000 353/7500 375/7000 455/7000
最大トルク(kgm/rpm) 36.8/5500 36.8/5500 41.8/4500 51.0/5200
エンジン搭載位置 ミッドシップ縦置き
駆動方式 後輪駆動
トランスミッション 5速MT
変速比 1速
      2速
      3速
      4速
      5速
      後退
最終減速比
2.256
1.769
1.310
0.990
0.775
2.134
4.091
2.232
1.625
1.086
0.858
0.707
1.960
4.090
最高速度(km/h) 300 287 295
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション 前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ 前後ベンチレーテッド・ディスク
ホイール 7.5J×14(F)、9.0J×14(R) 8.5J×15(F)、12.0J×15(R)
タイヤ 205/70VR14(F)、215/70VR14(R) 205/50VR15(F)、345/35VR15(R) 225/50VR15(F)、345/35VR15(R) 225/50ZR15(F)、345/35ZR15(R)
乗員定員(名) 2

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