ジャガー / Jaguar
生産国:イギリス


XJ220
フェラーリF40、ポルシェ959などに影響され、チーフ・エンジニアのジム・ランドルが1984年のクリスマスから
独自に進めていたプロジェクトが、会社から正式に認められて実現。1988年10月のバーミンガム・ショーで発表された、
水冷V型12気筒DOHC+4WDのミッドシップ・スーパースポーツ。最高速度220マイル(354.05km/h)を狙って、その名がつけられた。
エクステリア・デザインはジャガーの社内デザイナー、キース・ヘルフェット。ボディパネルはアルミ製で、
シャシーはアルミハニカムをアルミ板で挟んだパネルによるモノコック。ミッドに縦置き搭載されるエンジンは、
かつてレース用に開発していたものをベースにしており、排気量6222cc、最高出力500PSオーバー。
駆動方式はフルタイム4WDで、4WSの採用も検討されていた。発表の段階では生産は決まっていなかったが、
1500台におよぶ予約が殺到したという。他に類を見ない5メートルにおよぶ全長と、ル・マンのCカーのようなエッジのない
滑らかなスタイリングが印象的。前後の電動可変スポイラーにより変化するが、Cd値は0.35〜0.85。
エクステリア・デザインのモチーフになったのは、幻に終わったXJ13と呼ばれる水冷V型12気筒エンジン搭載のプロトタイプ。

1989年9月に生産決定が発表されたが、ジャガーではこのようなスーパースポーツを生産した経験がないため、
TWR(トム・ウォーキンショー・レーシング)との共同出資によるジャガー・スポーツを設立。
XJ220の開発・生産を委託することにした。しかし、最高速度220マイル(354.05km/h)を達成するには重量がヘビーすぎ、
タイヤももたず、市販化が難しいと判断。軽量化のために、水冷V型12気筒DOHC+4WDから、
水冷V型6気筒DOHCツインターボ+後輪駆動に変更された。アルミハニカムのシャシーとアルミ製のボディパネルは
そのままだが、全長は250mm、ホイールベースは205mm短くされた。エンジンは、
当時TWRがグループCカーのXJR-10/11採用していた、3.5リットル水冷90度V型6気筒DOHCツインターボを
デチューンして搭載。最高出力は542PS/7000rpm、最大トルクは65.7kgm/4500rpm。ターボが効くのは、4000rpmから。
重量のかさむ4WDシステムは廃止され、後輪駆動に改められるとともに、ABS、アダプティブ・サスペンションも省略された。
サスペンションは、前後ともダブルウィツシュボーンで、レーシングカー並みのセッティングが施されている。
ブレーキは前後ともベンチレーテッド・ディスクを採用。ホイールはスピードライン社製のセンターロックタイプで、
フロントが9J×17、リアが14J×18。タイヤはブリヂストン社製の
エクスペディアS-01が標準で、フロントが255/45ZR17、リアが345/35ZR18。

フロントのスポイラーは電動可変タイプで、角度が変化する。ノーズのダクトから入ったエアは、ラジエーターを冷却し、
ボンネット後端のスリットから排出される。ヘッドライトは丸型4灯で、リトラクタブルではなく、カバーが垂直に上下する。
リアクォーター部には、エンジンルームへのエアスクープが設けられている。ここから入ったエアは、
エンジンを冷却し、ガラスフード後端のスリットから排出される。リアタイヤの前にはブレーキ冷却用のダクトがあり、
その斜め下には「XJ220」の文字があしらわれている。リアウイングもフロント同様、
電動可変タイプで、自動的に上方へせり上がる。リアエンドにはデフューザーが装備されており、
ボディ下部を通ったエアを効果的に排出する。リアには、浅いがトランクが設けられている。

インテリアは、シートをはじめ、ジャガー伝統のコノリー社製の高級レザーをふんだんに使用し、
ウィルトン社製のウールカーペットを敷き詰めるなど、高級感あふれるものになっている。ただし、4本スポークの
ステアリングには、パワーアシストは装備されていない。メーターパネルには、大径のスピードメーターとタコメーターを
中心に6個のメーターと警告灯が並ぶ。ドアにも4個のメーターがレイアウトされている。

残念ながら、最高速度220マイル(354.05km/h)は果たすことはできなかったが、351km/hをマーク。
ライバルのフェラーリ40に充分に対抗できるパフォーマンスを発揮した。市販モデルは、
1991年の東京モーターショーで発表された。価格は29万ポンドで、その名にちなんで220台限定とアナウンスされたが、
世界的なバブルでオーダーが殺到。すぐに350台に修正された。日本での価格は7800万円で、
17台の割り当てに対して340人の購入希望者が現れた。しかし、バブルがはじけ、再度生産台数が見直された。
実際の生産は1992年から始まり、1993年までに271台がデリバリーされた。
このXJ220は、レースにも参戦経験を持つ。ジャガー・スポーツから、1993年のル・マン24時間耐久レースの
カテゴリー4(GTクラス)に3台が出場。クルサード/ブラバム/ニールセン組が総合15位、
クラス優勝を果たしたが、後に排気系のレギュレーション違反が見つかり失格となった。



速度感応式のリップスポイラー



ボンネットのダクト


エンジンへのエアインテーク


エンジンの放熱用スリット


ブレーキ用のエアインテーク

専用デザインのホイール

速度感応式のリアウイング

リアエンドのデフューザー


■Specification
発表年 1988
生産年 1992〜1993
生産台数 220
シャシー モノコック
全長×全幅×全高(mm) 4850×2010×1140
ホールベース(mm) 2640
トレッド前後(mm) 1650/1650
車両総重量(kg) 1350
エンジン 水冷90度V型6気筒DOHC+ツインターボ
ボア×ストローク(mm) 94.0×84.0
総排気量(cc) 3498
燃料供給 電子燃料噴射装置
圧縮比 8.3
最高出力(PS/rpm) 507/7000
最大トルク(kgm/rpm) 65.3/4500
エンジン搭載位置 ミッドシップ縦置き
駆動方式 2WD
トランスミッション 5速MT
変速比 1速
      2速
      3速
      4速
      5速
3.00
1.95
1.42
1.09
0.85
0→100km/h(秒) 3.85
最高速度(km/h) 351
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション 前後ダブルウィッシュボーン+コイル
ブレーキ 前後ベンチレーテッド・ディスク
ホイール 9J×17(F)、14J×18(R)
タイヤ 255/45ZR17(F)、345/35ZR18(R)
乗員定員(名) 2

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